生地のレーヨンが持つ5つの特長|注意点や向いているアイテムを紹介

生地のレーヨンが持つ5つの特長|注意点や向いているアイテムを紹介


レーヨンは、植物から取れる木材パルプを薬品で加工して作られる「再生繊維」のひとつです。この記事では、レーヨンを使ってハンドメイドしたいと考えている人に向けて、レーヨンの5つの特長や注意点について解説します。向いているアイテムも紹介しているので、ぜひ役立ててください。

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レーヨンとは

レーヨンは繊維の一種で、自然界に天然に存在する「天然繊維」とは異なり、人工的に作られる「化学繊維」に分類されます。化学繊維は大きく「再生繊維」「半合成繊維」「合成繊維」の3種類に分けられます。

レーヨンは、木材パルプという植物由来の原料を薬品で加工して作られる「再生繊維」のひとつです。特長として、加工処理により自然に分解されやすく、燃やしても有毒ガスが発生しないため、環境に優しい素材とされています。

レーヨンの歴史

レーヨンの始まりは、19世紀後半のフランスにさかのぼります。当時、高価な天然繊維であるシルクは上流階級だけのものでした。そこで、一般市民でも手に入れられ、安定して供給できる人工の絹として、レーヨンの開発が進められました。

初期のレーヨンは燃えやすく危険な素材でしたが、その後の改良により、安全性が向上し、爆発的な人気を集めるようになりました。

日本におけるレーヨンの始まり

日本でレーヨンの製造が始まったのは、1918年です。帝国人造絹糸(現・帝人株式会社)が、日本で初めて化学繊 維の製造を開始しました。日本における最初の化学繊維の製造事例とされています。その後、東洋レーヨン株式会社(現・東レ株式会社)などもレーヨンの製造を手がけるようになり、多くの繊維会社がレーヨンの生産に参入していきました。

※参考:歴史 | 企業情報 | 帝人株式会社

※参考:変わりゆく合成繊維 ―東レの糸の進化史― | Stories | senbism | TORAY

レーヨンの主な特長

レーヨンの主な特長は、以下の5つです。

  1. 肌触りが滑らかである
  2. 上質な光沢感がある
  3. 通気性に優れている
  4. ドレープ性が高い
  5. 価格が手頃である

以下で、それぞれについて詳しく解説します。

肌触りが滑らかである

レーヨンはもともとシルクの代用品として開発されたため、滑らかな肌触りが大きな特長です。極細のフィラメント糸に加工することで、軽量さとやわらかさを実現しています。また、静電気が起きにくく、肌にまとわりつく不快感がありません。

上質な光沢感がある

シルクのような透明感のある光沢も、レーヨンの特長のひとつです。名前の由来は「ray(光)」と「cotton(綿)」であり、光沢を表しています。また、染色性にも優れているため、カラーバリエーションが豊富です。レーヨンは、オンオフで使用できるシャツやブラウスに適しています。

通気性に優れている

レーヨンは通気性にも優れており、シルクと共通する特長です。風通しがよく、汗をよく吸うため、春夏の汗ばむ季節に適しています。ただし、レーヨンは過度に濡れると乾きにくいため、汗を多くかく猛暑日には向いていません。汗冷えを起こす可能性があるため、注意しましょう。また、春夏だけでなく、秋冬の裏地や寝装具にも使われています。

ドレープ性が高い

レーヨンはしなやかで、ドレープ性に優れています。ドレープとは、「やわらかくまとわせる」「美しく垂れ下がる」といった意味の言葉です。動きにあわせてやわらかく流れ、エレガントな印象を与えます。高級衣料用の生地として、広く使用されています。

価格が手頃である

シルクに似た特長を持ちながら、レーヨンはシルクに比べて価格が手頃です。そのため、普段使いの衣類にも取り入れやすい素材です。コストの高さと希少性はシルクの大きなデメリットですが、これらを補えるレーヨンは、服飾業界で重要な役割を果たしています。

レーヨンの注意点

レーヨンを扱う際には、以下の4つの点に気をつける必要があります。

  1. 水に弱い
  2. 乾きにくい
  3. 熱に弱い
  4. シワになりやすい

以下で、それぞれの注意点について解説します。

水に弱い

レーヨンは原料が木材パルプのため、水に弱い性質があります。水洗いをすると縮むおそれがあり、水分を吸うと生地の強度も低下します。また、水分を吸った状態になると、しわもできやすくなるため、注意しましょう。衣類を洗濯する際は、必ず洗濯表示を確認することが大切です。

乾きにくい

レーヨンの原料は木材パルプであるため、一度濡れると乾きにくいという特長があります。特に大量の汗をかいたときは、汗冷えの原因になるため、注意が必要です。少量の水でも輪染みになる可能性があるので、雨の日にも注意しましょう。

熱に弱い

レーヨンは熱に弱く、デリケートな素材です。そのため、アイロンをかける際は温度に注意し、強い熱を直接当てないようにしましょう。また、水にも弱いため、スチームアイロンではなくドライアイロンを使うのが安心です。なお、ポリエステルのように発火する性質はないため、その点は心配いりません。

シワになりやすい

レーヨンは水に濡れると強度が低下し、シワになりやすくなります。水洗いできる製品でも、シワを防ぐのは難しいため、できるだけハンガーにかけて干す、手洗いで優しく扱うなどの工夫が必要です。

レーヨンをお手入れする際のポイント

レーヨンをお手入れする際のポイントは、主に3つあります。以下で、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

適切な方法で洗濯をする

レーヨンはドライクリーニングがおすすめですが、水洗いが可能な場合でも手洗いが基本です。30度前後のぬるま湯で優しく洗いましょう。乾燥機の使用は避けてください。洗濯表示で洗濯機の使用が可能な場合でも、洗濯ネットに入れ、おしゃれ着コースで洗うのが安心です。

日陰に干す

レーヨンを水洗いした場合は、干し方にも注意が必要です。直射日光に当てると繊維が傷んだり、変色したりする恐れがあります。レーヨンを洗った後は、風通しのよい日陰に干しましょう。

アイロンは当て布をしてかける

前述したとおり、レーヨンは熱に弱く、高温でアイロンをかけると質感の劣化や変色のリスクがあります。そのため、アイロンを使用する際には、スチームは切り、中温で当て布をしてかけるようにしましょう。

レーヨンが向いているアイテム

レーヨンが向いているアイテムは、ブラウス・シャツやパジャマ・ルームウェア、裏地などさまざまです。以下で、それぞれのアイテムについて詳しく解説します。

ブラウス・シャツ

レーヨンは、ブラウスやシャツに向いている素材です。さらりとした質感で着心地がよく、レーヨンのドレープ性によってフォルムも美しく見えます。コーディネートにメリハリが出るのも特長です。春や秋のように、ブラウスやシャツ一枚で外出しやすい季節に適しています。

パジャマ・ルームウェア

パジャマやルームウェアも、レーヨンの利用に適しています。パジャマやルームウェアにレーヨンを利用すると、肌触りがよく、長時間着ていても快適に過ごせます。家のなかで着るものなら、多少の光沢の劣化も気になりにくい点もポイントです。

裏地

レーヨンは、スカートの裏地などにも適している素材です。素肌に直接触れる部分でも、肌触りがよいため快適に着られます。また、ルームウェアと同様に、洗濯で多少劣化しても気になりにくい点もメリットです。

まとめ

レーヨンは、木材パルプといった植物を原料にし、化学薬品で加工して作られる「再生繊維」の一種です。天然素材に似たやわらかな風合いや、通気性・吸湿性・ドレープ性の高さが特長で、見た目にも美しく快適な着心地を実現します。価格も比較的手頃であるため、日常着やファッションアイテムにも広く使われています。

一方で、水や熱に弱くシワになりやすいという欠点もあります。洗濯やアイロンの際は注意が必要ですが、特性を理解して適切にケアすれば、長く快適に使えます。

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