洋裁と和裁の特徴・違いは?必要な道具や関連資格、和裁を始める方法も解説

洋裁と和裁の特徴・違いは?必要な道具や関連資格、和裁を始める方法も解説


洋裁では人の体に合わせて製作するのに対し、和裁では仕立て直しを想定し、反物を傷つけない製作方法が用いられます。

この記事では、洋裁と和裁の概要や違いを詳しく解説します。そのほかにも、洋裁・和裁に必要な道具や関連する資格、和裁を学べる場所についても解説します。ぜひ役立ててください。

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「洋裁」「和裁」とは?

「洋裁」と「和裁」とはどのようなものか、はじめにそれぞれの概要と特徴を解説します。

洋裁とは?概要と特徴

洋裁とは、洋服を仕立てること、またその技術を指します。おもに、衣服の製作や修理、アレンジに用いられます。洋裁は着る人を優先に考え、着る人のサイズに合わせて型紙を製作して仕立てることが特徴です。

和裁とは?概要と特徴

和裁とは、和服を仕立てること、またその技術を指します。和裁の特徴は、基本的な形が決まっていることと、サイズは子ども用・女性用・男性用の3つに限られていることです。仕立て直しができるよう、生地(反物)へのダメージが少ない作り方をしています。

洋裁と和裁の6つの違い

洋裁と和裁の間にはどのような違いがあるのでしょうか。おもな6つの違いを解説します。

型紙を使用するか

洋裁は人に合わせて製作します。まっすぐだけでなく斜めや曲線にも裁つため、多くの場合で型紙を使用します。一方、和裁の場合、基本的に裁ち板に反物を置き裁断するため、型紙は使用しません。和裁はすべてのパーツが長方形のため、型紙がなくても仕立てられます。

裁ち方が異なる

洋裁は体の線に合わせ、直線だけでなく斜めにも裁ちます。一方の和裁は、布目に対し縦または横に裁つ「直線裁ち」です。すべて直線で裁つため、すべてのパーツが長方形になり、布一反を無駄なく使えます。

仕立て直しを想定しているか

和裁ははじめから、仕立て直しや再利用を想定しています。もとの反物に戻せるよう直線裁ちにするほか、余った部分も切り落とさずに縫い込みます。解いた着物はすべてもとの長方形のパーツへと戻せ、もとのサイズより大きなものにも小さなものにも仕立て直すことが可能です。

和裁の場合は全く同じ反物が少ないことから、極力反物を傷つけず、再利用することを前提としています。

和裁は手縫いが基本

洋裁では手縫いもミシン縫いもするのに対し、和裁は反物を傷つけず糸が解きやすいよう手縫いが原則です。再利用を前提としているためです。また、縫い代は切り落とさないため、ごわごわしないようきれいに中に折りたたんで縫い込みます。

使用する生地が異なる

洋裁ではおおむね90~150cmまで、さまざまな幅の生地が用いられます。それに対し、和裁で着物や浴衣などを仕立てる際は、基本的に「反物」を使用します。反物とは着物になる前の生地で、円筒の芯に巻かれて販売されます。

「小紋」「紬」「付け下げ」「浴衣」など、同一の柄が繰り返し載っている着物の素材です。多くの場合、反物の幅は37~38cm、長さは12~14mほどです。1反あれば着物1着を作成できます。

寸法の仕方が異なる

洋裁は「cm」を用いますが、和裁で着物や浴衣を仕立てる際は現在でも「尺」「寸」「分」などの尺貫法が用いられます。尺には、「鯨尺」と「曲尺」の2種類があり、一般的には鯨尺が使用されます。

ただし、東北地方では曲尺が一般的です。鯨尺では1尺=37.88cmで、1丈は1尺の10倍、1寸は1尺の10分の1となります。(それぞれ10倍の関係→1丈=10尺=100寸=1,000分=10,000厘)

洋裁・和裁に必要な道具

洋裁と和裁、それぞれにどのようなものを使用するのか、必要な道具を解説します。

洋裁に必要な道具一式

洋裁では、おもに以下の道具を使用します。

  1. 手縫い針:手縫い専用の針。ボタン付けやスナップ付けに使用
  2. ミシン針:ミシン専用の針。家庭用、工業用、ロックミシン用など
  3. まち針:布を重ねて縫うときや位置を固定する際に使用
  4. ピンクッション:使用していない手縫い針やまち針を刺す
  5. 手縫い糸:手縫いする場合に使用。針と同様、手縫い専用の糸を使用
  6. ミシン糸:ミシン専用の糸。薄めの布であれば細い糸、厚めの布であれば太い糸を使用
  7. 裁ちばさみ:布を裁つ専用のはさみ
  8. 糸切りばさみ:糸を切ったり、布に細かな切り込みを入れたりする際に使用
  9. ものさし:直線部分をカッターで裁断する際に使用
  10. メジャー:身体や服など立体的なもののサイズを測る際に使用
  11. チャコペン:布地に型紙を写す際や、縫い代の印付けに使用
  12. リッパー:縫い目の糸切や、ボタンホールを開ける際に使用
  13. 指ぬき:和裁、キルト、刺し子で使用

和裁に必要な道具一式

和裁では、おもに以下の道具を使用します。

  1. 裁ち板:布の裁断・縫い合わせる際に使用
  2. くけ台・かけ針:布の一部を挟んで固定し、布をピント張らせる道具
  3. 縫い針:和裁では和針を使用
  4. くけ針:和裁独自。「くける」は洋裁で「まつる」という意味
  5. まち針:布を重ねて縫うときや位置を固定する際に使用
  6. 手縫い糸:手縫いする場合に使用
  7. 裁ちばさみ:布を裁つ専用のはさみ
  8. 糸切りばさみ:糸を切ったり、布に細かな切り込みを入れたりする際に使用
  9. ものさし:和裁では、1尺差しや2尺差しの物差しを使用することも
  10. へら(またはチャコペン):布に印をつけたり折り目をつけたり、縫い代を割ったり、角を出したりする際に使用
  11. へら台:へらで印をつける際に布の下に敷く台、こて台としても使用
  12. こて(またはアイロン):こてはアイロンが普及する前からあった、日本式のアイロン
  13. 指ぬき:金属製やプラスチック性、革製など。和裁では、革製の指輪状の指ぬきを使用

洋裁・和裁に関連する資格はある?

洋裁、和裁それぞれに、関連する資格が存在します。どのようなものか解説します。

洋裁に関連する資格

洋裁に関する資格は全部で3つあります。1つ目は洋裁技術認定です。洋裁技術認定は、一般財団法人日本ファッション教育復興協会が主催する、洋裁の分野の知識・技術を判定する民間資格です。初級・中級・上級と階級があり、日本ファッション教育復興協会が認定する学校の生徒のみ受験可能です。

2つ目は婦人子供服製造技能士です。婦人子供服製造技能士は、婦人服と子供服の製作技術を認定する国家資格です。2級・1級・特級と階級があり、それぞれ受験資格が異なります。2級は2年以上の実務経験、1級は7年以上の実務経験、特級は1級合格後5年以上の実務経験が必要です。

3つ目は紳士服製造技能士です。紳士服製造技能士は、国家資格で紳士服製造に関する知識と技能を証明する資格です。婦人子供服製造技能士と同様に2級・1級・特級と級が3つに分かれており、採寸や型紙制作、裁断、仮縫いなど製造するうえで必要な知識が問われます。

和裁に関連する資格

和裁に関する資格は全部で3つあります。1つ目は和裁技能士です。和裁技能士は国家資格で、和服を専門的知識と技能で仕立てる和裁技術者が対象です。階級は3級から1級まであり、和服製作作業の実技と学科の試験があります。

2つ目は和裁検定です。和裁検定は専門的知識と技能で和服を仕立てる、和裁技術者を対象にしています。階級は4級から1級までで、年齢関係なく仕事を続けたい人は2級以上、プロを目指すなら1級の取得が必要です。

3つ目は着付技能士です。着付け技能士は結婚式や成人式、七五三で和服を着用する人に着付けをします。着付け技能検定は国家検定で、着付け技能の振興、発展を目的としています。

和裁を始める方法・学べる場所は?

和裁はどのような方法、場所で学べるのか、4つの場所を解説します。

専門学校

和裁を学ぶ方法の1つは、専門学校への入学です。運営母体は、学校法人の場合と企業の場合があります。学校法人運営の場合は和裁だけでなく、着付けや華道、茶道などの伝統文化の知識やスキルも学べるケースが多いです。企業が運営する場合は、スキルを身につけながら報酬を受け取れます。また、卒業後の進路も安定しやすいでしょう。

短大・大学

和裁を学ぶ方法には、短大や大学の服飾系コースへと入る方法もあります。短大や大学の服飾関係コースだと和裁の基礎を学べるほか、染色や刺繍、着付け、茶道、華道などの知識も学べます。ただし、その他の科目もあるため、和裁を重点的に学べない可能性がある点や、入学金や多くの学費が必要な点がデメリットです。

職業訓練施設

和裁は、職業訓練施設でも学べます。職業訓練施設とは、失業中や求職中の人が就職するために必要な知識やスキルを身につける施設です。職業訓練は国や自治体が運営する施設のほかに、委託された民間の機関でも実施されています。未経験者でも1~2年で基礎を学べ、実務に活かせます。また、卒業後に関連企業で働ける可能性のある点がメリットです。

和裁教室・カルチャースクール

和裁教室や、地域のカルチャースクールでも和裁を学べます。身近に和裁を教えてくれる人がいない場合は、オンラインや通信講座、個人の和裁教室などで学べるでしょう。洋裁の経験がある場合や教室に通うのが難しい人は本やネット動画、ビギナーの人は先生から直接学べるスクールや教室がおすすめです。

まとめ

洋裁とは洋服を仕立てることやその技術、和裁とは和服を仕立てることやその技術を指します。洋裁は体の線に合わせて製作するため型紙を使用することが特徴で、和裁は仕立て直しや再利用を想定しているため余った部分も縫いこむことが特徴です。

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